住まいと省エネについて

増えつづける一般家庭のCO2排出量
国が省エネ対策を進めていることによって、企業・工場などの産業部門ではCO2排出量は
削減されていますが、一方で一般家庭から排出されるCO2排出量は増加しています。
私たちは、一般家庭でのCO2排出量削減のため、できることから取り組んでいくことが求められています。
住まいの省エネルギー化
住まいの断熱性能が悪かったり、窓・ドア・壁などに隙間等があったりすると、家の中の熱(冷気・暖気)
が外へ逃げてしまい、外気の影響を受けやすくなってしまいます。
つまり、せっかく家の中で冷暖房をかけても効きが悪く、余分にエネルギーを消費してしまうこと
になってしまうのです。そこで、断熱材を使って住まいをしっかりと断熱し、すき間のない住宅を
作ることが求められています。

断熱をしっかりした住まいほど、冷暖房費が少なくてすむことがわかります。 窓など開口部の断熱も重要

「外張り断熱」のすすめ

自分で施工できない断熱材だからこそ、施工が確実な「外張り断熱」がオススメです。

現在の住宅は家電や設備機器の発達によって、壁や天井の内部にたくさんの配線や配管がかくれています。
また大地震への備えから耐震性が強化され、以前よりも頑丈な金物も使用されています。こうした配線・配管・金物をよけて、壁の中にすき間なく断熱材を詰めこむことは非常に難しいことです。

「外張り断熱」はしっかりした施工がしやすい!


実際の断熱材

外張り断熱工法

「外張り断熱工法」は柱の外に断熱施工するので、断熱材を切れ目なく施工することができます。また壁にある障害物の影響を受けないのも特徴です。高断熱住宅では、すき間からの熱ロスも見逃せなくなるので、建物全体の気密性能を高める必要があります。
すき間のできにくい「 外張り断熱工法」は「 充填断熱工法」に比べて、気密性能を高めることが容易になります。
木材は発泡プラスチック系断熱材に比べると、5~8倍断熱性能が劣ります。木造住宅では表面積の約20%が木材による熱の逃げ道になっています。このため「 充填断熱工法」では、建物の木材部分から熱が逃げてしまうので、断熱材の厚さを増やしてカバーする必要があります。
これに対して「 外張り断熱工法」では、木材は断熱材の内側に位置するため、木材の断熱性がそのままプラスされます。

木材を味方にする外張り断熱工法

充填断熱工法では下のサーモグラフからも、木材部分が低温になっているのが見てとれます。このような熱の逃げ道を「熱橋」といいます。
木造住宅では在来工法と2×4工法で多少異なるものの、表面積の約20%が木材で占められ、熱橋となっています。
これに対し「外張り断熱工法」は断熱材が連続しているので、木材が熱橋とならず、逆に木材の断熱性能がプラスされます。
次世代省エネ基準で同じ断熱材を使用する場合、「充填断熱工法」では「外張り断熱工法」よりも断熱材を厚くする必要があります。

住まいを長生させよう

住まいの健康まで守っちゃう!結露に強い「外張り断熱」で住まいイキイキ!

 

外張り断熱工法

外張り断熱工法」で使用する発泡プラスチック系断熱材は水蒸気をとおしにくく、断熱材の中で結露する心配がありません。
また夏・冬とおして壁の中の温度は室温と比べてあまり下がらないため、壁の中での結露の心配もなくなります。
外張り断熱工法」は木材に対してもやさしい工法です。「 充填断熱工法」の冬の壁の中では、内側と外側で20℃近くの温度差が生じてしまいます。これに対し「 外張り断熱工法」ではほぼ室温より数度の低下で一定し、温度差が少なくなるため木材に余計なストレスを与えません。また、まわりは空気にさらされているため、木材もしっかり呼吸できます。

充填断熱工法

繊維系断熱材を使った「 充填断熱工法」では、冬は外壁に近い部分で、夏は内装材のすぐ近くで断熱材内部が露点温度※1)になりがちです。この状態が長く続くと結露がおこるので、繊維系断熱材を使用する場合、断熱材の中に水蒸気を入れないことが大変重要になります。
※1)露点温度・・・結露が始まる温度。この時、空気中に含まれる水蒸気が飽和状態(相対湿度100%)になっている。

外張り断熱工法は結露しにくい!


壁の中の温度分布を見てみると、温度は断熱材の中で急激に変化します。このため「充填断熱工法」では、壁体内の比較的室内側に近い点(A点)で、すでに温度が低下し始めます。温度の低下した部分に、室内からの水蒸気が到達した場合、結露の可能性が高まります。
これに対し「外張り断熱工法」では断熱層が壁の外側に位置するため、壁体内の温度は、水蒸気の流入側である室温と比べてあまり下がりません。使用するプラスチック系の断熱材自体も結露のもととなる水蒸気をとおしにくいので、断熱材内部での結露の心配はありません。

ひろびろ空間利用術

「外張り断熱」なら家の中がひ~ろびろ。余裕のスペースが生まれるんです!


「外張り断熱工法」は従来「 充填断熱工法」で断熱材を入れていた部分が空洞になるため、断熱性や防火性を損ねることなく、棚や収納として活用できます。余分な家具が減るのですっきりとしたインテリアデザインが可能になります。
見た目もやさしく、水蒸気を吸・放出するなど、近年天然素材である木材が再評価されています。「 外張り断熱工法」では断熱性と防火性を維持しながら、伝統的な真壁造のように、木材を内装として利用できます。また「 外張り断熱工法」で屋根断熱をすれば、これまで断熱・気密上外部空間だった小屋裏が、室内空間に変わります。今まで眠っていた広大なスペースを有効に活用できるようになるのです。

生活を豊かにする外張り断熱工法

現在の住宅の不満に対するアンケートでは、約半数の人が収納不足に悩んでいます。
壁の中には驚くほどのスペースが眠っています。「充填断熱工法」ではこの部分に断熱材をつめこんでいましたが、「外張り断熱工法」では、収納や棚として有効に活用することができます。大きなスペースが眠っているのは小屋裏空間も同様です。近年、小屋裏の使用面積制限が緩和され、居室や収納スペースとして利用する住宅が増えています。しかし屋根で十分な断熱をしていないと、小屋裏温度が上昇してしまい、居室として不快な空間になるだけでなく、大切な物をしまう収納スペースにも適しません。「外張り断熱工法」で屋根断熱をすれば、小屋裏の温度環境が改善されます。

高断熱住宅のパートナー

大切な住まいは「断熱」から!3つのパートナーで、さらに快適!!

 
断熱住宅をより快適に過ごすためには「気密」・「換気」・「暖冷房」のバランスを考えていく必要があります。住宅の気密化の目的の1つは、すき間から逃げる熱を防ぐことです。穴の開いたコートでは意味がないように、高断熱化された住宅では、わずかなすき間から逃げる熱も見逃せません。もう1つの目的は計画換気を行うため。ノズルに穴が開いた掃除機ではゴミを吸い取ることができないように、確実な換気をするには空気の出入り口を明確にし、他にはすき間をつくらないことが肝心です。建物の気密性能は「相当隙間面積」という単位で表されます。
計画換気の目的の1つはVOC※1)をすみやかに排出すること。住宅では多くのVOCが使われ、その数は100種類以上ともいわれています。もう1つの目的は、人が生活する上で必要な新鮮空気を確保すること。建築基準法や次世代省エネ基準では必要な換気回数※2)を0.5回/hとしています。0.5回/hの換気量を確保するため、すき間からの漏気との差を計画換気で補うことになります。
※1)VOC・・・建材や家具・日用品などから放散される揮発性有機化合物のこと。ホルムアルデヒトを中心に室内の濃度指針値が策定されている。Volatile Organic Compoundsの略。
※2)換気回数・・・室内の空気が1時間あたりに外気と入れ替わる回数。

気密性と計画換気の関係


計画換気とは空気の入り口と出口を明確にし、汚染空気と必要な新鮮空気を入れ換えること。
すき間だらけの住宅では室内の空気は外部との温度差や風によって、勝手に入れ替わってしまいます。
これでは排気口に近いすき間から空気が流れてしまい、十分な換気ができません。有効な換気を行うには換気経路を明確にした上で、建物の気密性を確保する必要があります。

相当隙間面積(C値)とは

相当隙間面積(C値)とは建物の外皮(気密層)に存在する隙間面積の合計(相当隙間面積)を、延べ床面積で割り算した数値のことです。C値をもとめるには建物ごとに機械による気密測定を行うしかありません。
気密測定では送風機によって空気を排出し、室内を負圧に保ちます。そして内外圧力差が9.8Pa(パスカル)の時の風量から相当隙間面積をもとめます。C値は値が小さいほど建物の気密性が高いことを示しており、次世代省エネ基準ではI・II地域が2.0cm2/m2以下、III~VI地域については5.0cm2/m2と定められています。

計画換気の種類

計画換気は換気扇や送風機を用いる換気方法で、室内の圧力の状態と換気による空気の流れ方によって3種類に分類されます。第1種換気は給気と排気の両方を機械によって行なうため、安定した換気量が確保されます。第2種換気は給気のみを機械で行ないます。室内が外より高圧になるので、外部からの空気の流入の心配がなくなり、病院などで採用されています。第3種換気は排気のみを機械換気で行い、一般の住宅で採用されています。外部より低圧になるため、外部から空気が流入しやすくなります。住宅ではこの特徴を生かして、台所・トイレ・浴室など空気が汚れやすい空間で用いられます。

暖冷房方式

気密性に優れた高断熱住宅では、暖房器具から発生する一酸化炭素や二酸化炭素などの有害物質濃度が高まり、事故につながる可能性があります。そのため気密住宅においては室内の空気を汚染しない密閉型の暖房器具を使用します。
FFストーブ、温水暖房機、電気暖房器、エアコンなどがこれに相当します。これに対して通常のガスや灯油を熱源とするストーブやファンヒータなどの暖房器は「開放型暖房器」とよばれます。